認定NPO法人 札幌せき・ぜんそく・アレルギーセンター (SCAAC)

■せきがなかなか取れないことありませんか?


風邪によるせきは少なくとも2,3週間以内によくなるはずで、3週間以上せきが続く場合には、風邪をきっかけに別の病気を起こしていると考えるべきです。
イラスト:肺風邪をきっかけに隠れていた病気が出てきたり、肺炎など別の病気をもらってしまうことがあります。
2012年5月に、日本呼吸器学会から「咳嗽に関するガイドライン第2版」が刊行され、胸部レントゲン写真で異常陰影のないにも関わらず、3週間〜8週間未満のせきを「遷延性」のせき、8週間以上続くせきのことを「慢性」のせきと呼ぶことになっています。
長引くせきとはこの3週間以上続く遷延性・慢性のせきを指します。
原因別では下表に示したように大きく5つに分けられます。
このようにいろいろな疾患の一つの症状として表れ、診断を複雑にしています。
また、たんを伴う場合には副鼻腔気管支症候群や呼吸器疾患、喀痰を伴わない時にはせきぜんそく、アトピー咳嗽、胃食道逆流症、百日咳を疑います。

■市販薬の咳止めで良くならない理由


イラスト:薬最近、「市販の咳止めが効かない!」咳が急増しています。
それでは、どんな薬で良くなるのでしょう。
治療薬として使われる薬は、ぜんそくの治療薬(吸入ステロイド薬、気管支拡張薬)、抗アレルギー薬(ヒスタミンH1遮断薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬)、アレルギー性鼻炎薬(点鼻ステロイド薬)、抗菌薬(マクロライド系抗菌薬)、抗胃潰瘍薬(プロトンポンプ阻害薬)そして咳止め薬をうまく組み合わせて治療します。
ガイドラインでは副鼻腔気管支症候群ではマクロライド系抗菌薬の少量投与を、せきぜんそく、アトピー咳嗽では吸入ステロイド薬を、胃食道逆流症ではプロトンポンプ阻害薬を、感染後では咳止め治療を推奨しています。
さらに気管支拡張薬投与の検査を行い有効である場合せきぜんそくと診断し、吸入ステロイド薬と吸入長時間作用性β2刺激薬(気管支拡張薬)の配合薬にする。
気管支拡張薬投与検査で効果のない場合アトピー咳嗽と診断し、ヒスタミンH1遮断薬と吸入ステロイド薬を投与することになっています。

■どのような検査が必要か


症状のみで診断をつけるのは難しいことが多いですが、ある程度の症状の傾向は下表に示します。
検査は胸部レントゲン写真が必須であり、せきが出るようになったきっかけと、最も咳が強い時間帯、たんの有無、治療薬の効果について詳しく医師に話すようにしてください。
また、鼻・副鼻腔のレントゲンやCT、アレルギー血液検査を行い、どの物質がアレルギーの原因となっているのかを検査します。
胃食道逆流症では、簡単な質問検査と胃・食道内視鏡検査が必要となる場合もあります。

長引くせきの原因
1) 急性感染症: マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳
2) 慢性感染症: 副鼻腔気管支症候群
3) アレルギーによるせき: せきぜんそく、アトピー咳嗽(がいそう)
4) 食道逆流症に伴うせき
5) 呼吸器疾患による咳: 肺ガン、間質性肺炎の初期、気管支結核、慢性気管支炎

長引くせき(遷延性・慢性のせき)の特徴
夜眠れないほどの、1日中続くせき マイコプラズマ感染症、百日咳
朝4時〜5時頃の咳または呼吸困難 せきぜんそく
胸やけやゲップを伴うせき 胃食道逆流症
蓄膿症をもっていて、たんのからむせき 副鼻腔気管支症候群

■アレルギーの検査は進化しています!


アレルギーの検査は、小児科、小児皮膚科ではスクラッチテストや皮内反応が主体で、呼吸器内科、アレルギー科における成人の検査では血液検査が主体です。
体内に存在するIgEというアレルギーを起こす物質(抗体)を検査します。
アレルギーを起こす物質に反応する人は、その原因物質にだけ結合するIgE抗体を体内に多く持っています。
例えば、シラカバ花粉症のある人は、しらかば花粉の原因抗原に結合できるIgE抗体(シラカバ特異的IgE)が血液の中に増えているのです。
イラスト:看護師つまり血液を調べれば何に対してのアレルギーがあるかが推測できます。
ここで問題なのは、この血液検査でIgE抗体が検出されてもかならずしも、その物質に対してアレルギー反応が起こるとは言えず、またこの血液検査でIgE抗体が検出されなくても、その物質に対してアレルギーがあることもあり、100%アレルギーの原因がわかるわけではありません。

■血液検査の実際


イラスト:血液検査日本では、1回の受診で測定できるアレルギー原因物質の検査は、健康保険上制約があり、セットになっているIgE MAST の33項目が最大であり、通常は10項目前後を測定します。
そのため、250種類以上あるアレルギー検査項目のすべてを調べることは難しく、可能性の高い原因物質を選んで検査するのが通常です。
保険適応外での自費検査として、アレルギーの原因蛋白をさらに細かく分けて調べるアレルギーコンポーネント検査があります。
例えば、PR-10というアレルギーコンポーネント(たんぱく質)は、しらかば花粉に含まれていますが、リンゴ、もも、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、はんのきなど他のアレルギー原因物質にも含まれており、PR-10を持っているすべての花粉・食べ物に対するアレルギーに注意を払わなければならないということが分かります(ファディア社 http://www.thermoscientific.com/phadia ImmunoCAP R ISAC)。

■増えている食物アレルギー


イラスト:食物アレルギー小児の食物アレルギーは鶏卵、乳製品(牛乳)、小麦であり、成人では小麦、甲殻類(エビ、かに)、果物、魚類です。
頻度は少ないですが、そば、ピーナッツでは呼吸困難、血圧低下を伴うアナフィラキシーショックがあるため、携帯可能なエピネフリン筋肉注射(エピペン)をアレルギー専門医に処方してもらうことが重要であり、保険適応となったため、以前より安価で手に入れることができます。
下表に食物アレルギーの診断の手引き2011より引用した、食物アレルギーにより引き起こされる種々の症状について紹介します。
このようにいろいろな部位に起こることがあるため、専門医への受診が重要なカギとなっています。

食物アレルギーにより引き起こされる症状
皮膚症状: そうよう感(かゆみ)、血管運動性浮腫、発赤、湿疹



眼症状: 結膜充血・浮腫、そうよう感(かゆみ)、流涙、眼瞼浮腫
鼻症状: くしゃみ、鼻水、鼻閉
口腔咽頭
症状:
口腔・口唇・舌の違和感や腫脹、のどのかゆみ、イガイガ感
消化器症状: 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便
呼吸器症状: 喉頭絞扼感(しめつけ)、喉頭浮腫、嗄声、せき、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難
全身症状: アナフィラキシー: 多臓器の症状
アナフィラキシーショック: 頻脈、虚脱状態(ぐったり)、意識障害、血圧低下